おためし町家

7/27-8/2 Yさん

20代女性、雑誌編集者。 富山の田舎の日本家屋出身。金沢市郊外の1Kのアパートで一人暮らし中。


住む前の感想

○今の家はどんな家ですか?

改装6年目のアパート。1K。

○どんな場所に何人で住んでいますか?

一人暮らし。金沢市の中心地から離れて、野々市よりの住宅街。学生が多く住むエリアなので、お隣はおそらく学生さん。

○一日のうちどれぐらい家にいますか?

平日は寝に帰る感じで、ほとんど家にはいません。インドアなので、休日は家にいるのが好きです。

○町家にどんなイメージがありますか?

住むほどに価値が目減りする新築物件と違って、住むほどに風合いが増す良質物件。
夏は風が通って涼しそう。
日本人らしいライフスタイルが送れそう。
改装にお金がかかりそう。
前に住んでいた人の気配がのこっていそう。

○不安に思うことはありますか?

トイレ・お風呂など水回り。
台所の使い勝手。
騒音
冬は寒そう。
耐震性。
虫・シロアリ

○期待していることはありますか?

小さなお庭と、縁側が理想。
ちゃぶ台でご飯を食べ、文机で仕事したい。
盆栽なども育ててみたい。
クーラーをつけず、自然の風だけで暮らしたい。

住んでいる時の感想

  • 今日から一週間、憧れの町家暮らし!初日の感想「初めてなのに町家って、なんでこんなに落ちつくのかしら」。
  • おためし町家2日目】11時頃町家に帰宅。マイアパートなら即エアコンを入れるところ、ここはあまり暑くないので扇風機だけで十分なことに気づく。
  • 家同士が隣接する長屋づくりながら、坪庭からは夜風。
  • おためし町家3日目】 寝転がると天井に梁。たぶん梁。まじまじとみる。昭和初期のままらしいです。柿渋とか塗りなおしてあるのかな?いい色。
  • 【おためし町家3日目②】 この町家では洗濯機も納戸の中に収納されている。ハイテク家電と町家のミスマッチを見事回避。それにしても長屋ゆえ、お隣さんの物音たまに聞こえるので、深夜の洗濯は断念。
  • 【おためし町家4日目】 町家といえど、2階はやっぱりちょっと暑い。網戸にしたいけど、道路も近いし、反対は住宅外だし中が丸見えに。カーテンと違って、障子ってこういうとき困る。町家のみなさんはどうしているんだろう!?
  • 【おためし町家4日目②】 マイフェイバリット スポット。
  • 【おためし町家5日目】 昨日レポートし忘れ分。町家に住む間の日課、朝の植木と鉢の水やり。よい習慣。
  • 【おためし町家5日目②】 ひとの町家も気になるように。特に、玄関先に植えてある木が素敵で気になる。将来庭に招くためにも名前が知りたい。
  • 【おためし町家6日目】 町家というと、台所など、水周りが使いにくそうというイメージがありましたが、こちらの町家はすっぽり新しいキッチンに。たいへん快適。さらには改修の際に作り付けたというカウンターがとても便利&町家に馴染んでいる。
  • 【おためし町家7日目】 長屋町屋ゆえ、日光が入りにくく日中でも照明は必要。 代わりに、暑くなりにくい。
  • 【おためし町家7日目②】 本日が最終日。名残惜しくテレビを見る。町家にも薄型大画面のAQUOSが似合います。
  • 【おためし町家7日目③】 あけ渡しのためお掃除。畳は掃除機と乾拭き、この柿渋風の床は水拭きしてもよいものか‥。悩む。
  • 【おためし町家 おまけ】 最終日にとても美味しい、麦羊羹なるものをいただきました。香ばしくって優しい甘さ。羊羹というより、もはやニュージャンル。

住んでみた後の感想

○住んでみて良いと思ったところ

一階は日中でも涼しい。
季節を肯定的にとらえられる。(暑さにイラッとするというより、夏らしいなぁとさえ思えるように)
引き戸や階段、床などの木の質感、風合い。(これがかなり大きい)
町家が私に「美しく暮らしなさい」と言う。(食事や掃除など日常生活が、自然と丁寧になる気がする)
小さな坪庭がある生活がとてもよかった。窓際で縁側気分が味わえる。スイカや枝豆を食べました。
玄関から居間までの間に、“隠さなきゃいけないもの”がないつくりで、お客さんを呼びやすい。
自分が畳好きなことを再認識。敷布団は畳だからこそできること。フローリングだと体がいたくなる。
ちゃぶ台や文机にあこがれがあり、そういったインテリアが似合う空間。

○住んでみて苦手だと思ったところ

一階は日中でも暗く、電気がマスト。
二階は夜になっても暑い。
障子だとカーテンのように室内を隠しながら風だけ通すということができない。
体が堅いので、座布団生活もよいけれど、椅子やソファが欲しいと思ったことも。

○使い勝手はどうでしたか?

何不自由なく暮らせました。アパートの暮らしぶりとは、結構色々変えないといけないのかと思っていましたが
普段通り暮らせました。

○建物についての感想

お隣さんの音の響き具合や玄関が並ぶ感じも、長屋ってアパートみたいだなと思いました。

○ロケーションについての感想

大きな道路に近い面したところに住んだことがなかったので、夜窓を開けるときドギマギしました。
夜駐車場に車をとめて、商店街を歩く時間が好きでした。
横安江町商店街の雰囲気も含め、昭和の町娘になった気分。
長屋のみなさん、グリーンをとても上手に育ってらっしゃっていた。町家には緑が似合う。
お腹がすけば、うどん屋さんなど、ちょっと食べに行けるところがある。やっぱり町家は街中のものだと認識。

○町家へのイメージは変わりましたか?

キッチン、お風呂、トイレなど水回りさえ新しければ、不便のない今風の暮らしができる。
洗濯機、冷蔵庫などのハイテク家電と町家は似合わなさそうと思っていたが、
納戸など収納場所も工夫されていて 違和感がなかった。
町家だと冷房もいらないというイメージがありましたが、やはりこの猛暑、冷房は必要でした。
柿渋で塗られた作り付けのキッチンカウンターをみて、町家だからといっていわゆる
“純和風の暮らし”でなくてもよいのだ、と自由さを感じました。

【総評】

町家暮らしを選ぶということは、質感と素材感のある素敵な空間を手に入れる代わりに、
暮らしやすさなど何かを我慢することになると思っていましたが、要所さえきちんと手を加えれば、
町家ならではの豊かな暮らしと、現代的で快適な暮らしは、十分に並行可能なのだと実感しました。

 

 

 

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